初めて知ったのは子供のころに見た図鑑。
2つの角が生えている幼虫で、その角の先からパァーっと花火みたいなものが広がっている写真がのっていた。
こんな幼虫がいるのかと興奮したのをおぼえている。
今まで忘れていたんだけれど、最近になってなぜかその記憶がよみがえってきた。
だから探しに行こうと思う。
調べてみたらウラギンシジミというチョウの幼虫らしい。
クズの花を食べるみたいなので時期も良い。
よし、クズが生えている場所に行こう。
まずは河原に行ってみた。
ムラサキ色の花をかたっぱしから調べていく。
小さい幼虫がいた。
名前はわからない。
ウラギンシジミのほかにもクズの花を食べる幼虫はいるのかな。
どんどん見ていく。
小さいカメムシはたくさんいた。
どんどん見ていく。
ん!
大きい幼虫がいた。
ウラギンシジミかな?
ちがうかな。
調べてみたらトラフシジミというチョウの幼虫みたい。
さっきの小さい幼虫もトラフシジミかもしれないな。
この日は見つけることができなかった。
あきらめないぞ。
2日目
ちがう河原に来た。
朝からめちゃ暑いけど、がんばって探していこう。
さっそく小さい幼虫を見つけた。
またトラフシジミかな。
クズの花をよく見ると食べられたあとがある。
ここにはかじったあととフンがある。
ウラギンシジミがいたあとかもしれない。
この辺りにいるかも。
どんどん見ていく。
コガネムシがいた。
こいつも花を食べるのか?
どんどん見ていく。
白くて小さい幼虫がいた。
これもトラフシジミかな。
ここらへんはトラフシジミしかいないのかもしれない。
さっきの食べあともトラフシジミのものだな。
今日はあきらめよう。
その帰りぎわ。
日かげにクズの花が咲いていたので一応見てみた。
すると。
いた!
わかるかな。
ここだ。
この形はまちがいない。
ウラギンシジミだ。
指にも乗せてみた。
2つの角はおしりのほうにあった。
角のさきっぽには穴があいている。
そこから線香花火を出すのかな。
線香花は敵をおどろかすために出すと思うので、ウラギンシジミのおしりを指でツンツンしてみた。
でもぜんぜん出してくれない。
もう一度ツンツンしてみる。
すると
一瞬だけシュッと何か出てすぐ戻ってしまった。
0.1秒とかそんなレベルだと思う。
まさかこれだけなのか。
もっとゆっくり出すと思っていたし、出したらある程度そのままにしてくれると思っていた。
もう一度よく見ようとツンツンしたけどもう出してくれなかった。
線香花火を写真におさめるのはそうとう難しいぞ。
でもウラギンシジミを見つけることはできたので良かった。
もう少し大きい幼虫なら線香花火も見やすいと思うのでちがう個体を探してみよう。
3日目
2日目に行った河原へ別の用事で行った。
ついでにウラギンシジミも探してみる。
さっそく見つけた。
小さめのウラギンシジミ。
さいさきが良いぞ。
別の用事はそっちのけでウラギンシジミを探す。
すると。
いた!
大きい!
わかるかな。
2つの角が見える。
もうわかったかな。
ここだ。
2cm以上はあるかな。
草でツンツンしてみたけど線香花火は出ない。
手に乗せて観察してみる。
するとぼくの指をカリカリかじっている感触がある。
もちろん痛くない。
食べ物だと思ったのかな。
小さい目のかわいい顔をしている。
かんじんの線香花火はなかなか出してくれない。
シャッターチャンスなんだけど。
クズの花の上に戻してからまたツンツンしてみた。
すると、おしりをくいっと上げてシュッと線香花火を出した。
それも1秒くらい。
1秒くらい出してくれれば何とか撮影ができそうだ。
ツンツンやりすぎてもかわいそうなので少し観察していた時。
何もしてないのにシュッと出した。
あわてて写真をとる。
おしい!
線香花火を出して戻したときの白い先っぽだけ撮れた。
じーっと我慢していればまた出してくれるかもしれない。
とにかく観察しよう。
5分くらいたった時。
ウラギンシジミがおしりをくいっと上げた。
これは、出るかも。
すると片方の角からシュッと線香花火が出た。
来た!
すぐ写真を撮る。
じゃん。
背景が明るくて少し見にくいんだけど。
右の角から黒っぽい棒が出てその棒の先からたくさんの白い線が四方八方に飛び出ている。
ぼくは線香花火っぽいなあと思ったんだけど、ちがう感じだったらすみません。
このウラギンシジミを見つけてから1時間くらいかかってしまったけど、なんとか目的の線香花火を撮ることができた。
大人げなく空に向かってガッツポーズをしてしまった。
それぐらいうれしかった。
欲をいえば2つの角から出ている所を撮りたかったんだけど、でも何だかぼくは満足してしまった。
今回はこれでおしまい。